DATE : 2007 / 10 / 05 ( Fri )
【作品概要】
著者:士郎正宗
出版社:青心社
ジャンル:SF、アクション
1巻(初版発行1985年)~4巻(初版発行1989年)未完。
雑誌掲載を経ずにいきなり単行本化のため連載誌無し。
『攻殻機動隊』で一躍有名になった士郎正宗氏のデビュー作品で、根強いファンが多いSFアクション大作です。
【あらすじ】(ネタバレ無し)
舞台は攻殻機動隊と同じく第4次非核大戦後の世界。
『アップルシードDATABOOK』によると攻殻機動隊の設立が2029年。その後100年程経った2127年の世界がアップルシードの舞台となります。
第5次世界大戦相当の世界各地の武力紛争の後、「混乱した地球と人の生存」を目的に設立された総合管理局という組織が「自国の利益のみを追求する世界各国の調停、調整をするのにおおわらわ」という世界情勢の中、戦乱の跡(廃墟)を転々としながら生活する2人の主人公、デュナン・ナッツ(23歳♀)とブリアレオス(32歳♂全身サイボーグ)を「ある目的の為」にオリュンポス(*)へ入植させるところから物語は始まります。
*オリュンポス=総合管理局のある巨大な人工島。 大きさはイングランドとアイルランドを足したくらい。場所はアゾレス諸島とカナリア諸島の間くらい。
紆余曲折の後、デュナンとブリアレオスはオリュンポス内の行政院に属する内務省直属の軍特殊部隊「E.S.W.A.T」に配属され、様々な事件に対応していく事になります。
物語のカギの一つがオリュンポス(=総合管理局)で、劇中の人物の言葉を借りると、
「これだけ情報や企業が国境を越えて存在する時代に突然現れ…」
「目的は何か、いつどうやって人材を集め、秘密を守り、どこから莫大な資金、資材を得たか…」
「世界中がコケにされた」
という存在で、世界中が戦争に躍起になっている間に、有力な国家または組織の関与無しに秘密裏に建設されたことが示唆されています。
さらに総合管理局の上位に「都市企画班」、その上位に「オリオングループ」という組織があること、全てが「アポルシード計画」という計画の下に進行していること。物語の舞台が宇宙へシフトしていくことが公開されていました。
その辺りの謎解きも楽しみだったのですが、残念ながらその謎は永遠に解けないかもしれません。(T T)(後述)
【感想&雑記】 (ネタバレ無し)
記念すべき、当ブログ第一回で取り扱う「面白マンガ」は士郎正宗氏の『アップルシード』でしたー!
何故、今アップルシード!?
いや確かにおっしゃる通りなんですが(^^;)、自分が強く影響を受けた作品は数あれど、このブログを書くに当たって思い返してみると、小学生、中学生の頃に読んだ(見た)作品ていうのはやっぱり強烈なんです…。
私は中学生の頃に初めて読んで、絵の情報量の多さ、アクションの描写とスピード感に圧倒されてすっかりハマってしまいました。影響されてエアガン買ったりしたなーw
とにかく個人的にとても思い入れの強い作品です。
しかし、幸か不幸か攻殻機動隊が大ヒットしたため、圧倒的に攻殻機動隊の方が知名度が上、さらにアニメが先行してヒットしたため、原作を読んでみたけどアニメとのギャップもあってちょっと苦手!(^^;) という方が多いのも事実だったりします…。そんな方の為にちょっとエクスキューズしますが。。。
アップルシードも基本的に雰囲気は同じです。w
独特でちょっぴり難しい台詞回しや、専門用語の多さ、欄外の注は結構あります。それは士郎作品の個性なので、それがダメという人は仕方ないかもー。うーん。。。
いや、確かに「難しい」といわれるのもわかるんです。
物語の世界設定(時代背景、組織、科学技術等)で意図的に明らかにされていない部分(物語の鍵となる伏線など)とそうでない部分(物語の中でごく自然に設定として存在しているが明確な説明がない)の境目がよくわからないかも。だから読んでいて気になる人はそこで引っかかっちゃう。ということはあるとおもいます。
ただ、明確な説明が無いトコロはわからなくたっていいんです。(言い切った!w)
実際、バカな中学生(昔の自分)が読んで楽しんでたわけですから、そういう楽しみ方も全然ありじゃないですか?
ただ、わかるともっと楽しくなっちゃたりするのもまた事実なので、データブックが出たり、大人になって読み返したりしても楽しいんですね。実際いまだに新しい発見があったりしますよー。ビックリです。
そこを割り切って楽しめれば、一巻ごとのストーリーはハリウッド映画ばりのシンプル(?)なアクション物だと思うのでテンポ良く読めると思います。
キャラクターも攻殻と比べてレギュラー陣の個性が強く、数も豊富で実に魅力的な連中が目白押しです。
個人的には攻殻よりアップルに軍配です。
どっちも好きだし比べる必要は全くないんですけど。w
説明もどうも攻殻を絡めた説明になってしまうなー。(汗)
いやしかし、是非『アップルシード』も手に取ってみてください。
正直、面白いかどうかは主観的な問題なので保証はしませんが(え!?)食わず嫌いはもったいないですよ。と。w
ちなみに未完となっていますが作者が凍結宣言をしており、5巻以降は発行されない見込み(え゛ー!)です。ですが一巻ごとに完結する構成になっていますので、4巻まででも読み物としては十二分に楽しめます。
それにしてもアップルシード執筆の凍結は非常に残念!
士郎正宗氏は画集『イントロンデポ3』内で「世界情勢や自身のスタンスの変化により続きを描くのは困難」と語っているそうです(出典:Wikipedia)。確かにソビエト連邦の崩壊・東西冷戦構造の終結や、攻殻機動隊で描かれる電脳化・義体化技術⇒ヘカトンケイルシステム等と、攻殻からアップルへの技術的、又、人の種としての進化などは整合性を保つのが難しいのかと邪推しますが、本当に魅力的な作品には違いなく、続きを待ち望むファンは少なくありません。続刊を強く希望しつつこの項はここまでとします。
独断による名作度 | : 90/100点 |
ほんわか度数 | : ☆☆☆☆☆ |
心あったか度数 | : ☆☆☆☆☆ |
コミカル度数 | : ★★☆☆☆ |
笑っちゃう度数 | : ★☆☆☆☆ |
泣けちゃう度数 | : ☆☆☆☆☆ |
設定・世界観 | : ★★★★★ |
テンポ・スピード感 | : ★★★★★ |
残虐描写度数 | : ★★★☆☆ |